壁式RC造 新築
延床面積:約650㎡
敷地面積:約275㎡
用途:共同住宅
竣工:2025年 3月
担当:基本設計、実施設計、工事監理 ※㈱アンドレーベル在籍中設計~弊社にて工事監理実施
写真:小山内大輔
敷地は、江戸時代にキリシタンを収容・監視した「切支丹屋敷」へと続く「切支丹坂」の麓、まさに街の結節点(門口)に位置する。この地は歴史的に「異教徒の隔離と監視」というネガティブな記憶を内包しており、現代の集合住宅として単に容積を満たすだけの開発を行うことは、土地の持つ固有の文脈を無視することになると考えた。そこで、この歴史的な背景から目を背けるのではなく、デザインの力でポジティブな意味へと変換させることを試みた。街に対しては、過去の排他的な門ではなく、地域と調和し人々を優しく迎え入れる風格ある「新しい門」としての外観を提示すること。そして内部空間においては、かつての冷徹な「監視」の歴史を、現代の多様なライフスタイルに寄り添った家族間の「優しい見守り」へと昇華させること。この2つの反転を軸に、土地の記憶を未来へ継承するデザインを追求した。
外観は文京区の景観へのリスペクトから、重厚なブラウンを基調とし、坂道の傾斜に対してダイナミックな門型のコンクリートフレームを採用。新たな景観の拠点を創出した。また、賃貸物件の多くに見られる単身者向け住戸を詰め込んだ計画ではなく、街の特性やコンセプトに合わせ、1LDK 2室、2LDK 7室、3LDK 2室とファミリー住戸をメインに構成。住戸プランでは、近年の在宅ワークの普及に合わせ、LDKの横に機能的なワークスペースを配置。その壁面に意図的に「小窓」を設け、仕事に集中しながらも、リビングの子供の様子を緩やかに感じ取れる設計とした。この小窓は、土地の記憶である「監視」を、現代の家族愛に基づく「安心感」へと転換するささやかな装置である。結果として、現代のニーズに寄り添ったこれらのプランが市場でも好評を博し、事業者にとっても資産価値と社会的意義を両立した、地域と居住者に愛される集合住宅を実現した。
建物の構成としては、地下1階/地上4階建てで、敷地の高低差をうまく生かして法定高さが10m以下になるように計画し、土地のポテンシャルを最大限引き出す計画です。









