清住白河の新しいランドマークビル

テナント・住居複合ビル 新築
延床面積:約500㎡
敷地面積:約140㎡
用途:店舗、事務所、賃貸住宅
着工:2022年 10月
担当:基本設計、実施設計、工事監理
施主:東京レーベル
施工:スカイフィールドコーポレーション
写真:小山内大輔

清澄白河は、大きな公園や庭園が集中し多くの木々と触れ合う環境に恵まれているだけでなく、現代美術館が作られたのをきっかけにギャラリーが多く点在し、アートとみどりの両方が散りばめられたポテンシャルの高い街となっています。
一方で、当該敷地のそばを通る清洲川通り沿いの建物は、あえてグレートーンでまとめられているかのように、街路樹に乏しく、道路のグレー、建物のグレーが強調された風景となっています。

本計画では、街全体が持つポテンシャルを生かしつつ、周辺のグレートーンの街に新しいランドマークとなるような存在にしたいという想いをそのまま外観デザインに反映したいと考えました。

街の魅力である「アートギャラリーの白」をベースとして建物全体を白の背景で覆い、「木々豊かな街」を木材と捉えて、それをアートフレームで切り取ることで、街のポテンシャルをそのまま外観に映し出すことを目指しました。


街の特徴を強化し、周辺の街並みを明るくするファサードデザインの提案です。

コンセプトダイアグラム – 清澄白河の街の魅力をそのままファサードに変換 –

まとめ


■デザインのポイント

1.ランドマーク性:地域の3つの特徴をそのまま表現した特徴的な外観づくり
2.共有プロセス:地域に根差したデザインコンセプトを事前に共有し、テナントとの相乗効果を創出
3.ファサードデザインの融合:店舗・住宅・事務所の3つの異なる用途をひとつのコンセプトのもとに統一

■デザインが生まれた理由・背景

清澄白河駅出口の面する清洲橋通りは、樹木が少なく、グレートーンの建物群が立ち並び、自然の潤いや彩りに乏しい通りとなっている。一方で、街全体に視野を広げると「カフェの多い街」「アートギャラリーの多い街」「木々・公園の多い街」など、多くの人に街の魅力が共有されており、ひとつ小径に入ると魅力的な店舗やギャラリーが発見できるといったような、セレンディピティに富んだ街となっている。本計画では、駅徒歩2分という立地を生かし、街の魅力を代表するような、誰にでも共有しやすいコンセプト・デザインを通して、事業者・建築家・テナント・利用者の想いを重ね合わせることで、地域に根差した風景づくりを目指した。

■デザインを実現した経緯と成果

地域に根差したデザインというのは、歴史的な意匠を採用したデザインだけではない。現代的な表現であっても、事業者・建築家・テナント・利用者の想いが重なることで、ハード・ソフトの両面で、地域に根差した独自の風景が生まれていくはずだ。本計画では、地域性をひも解いたデザインコンセプトを入居希望者に事前に共有し、地域に根差した開発への想いを共有することで、結果、路面店となる1階には思い描いた形でカフェテナントの入居が決定した。完成後、多くの来訪者が訪れ、清住白河の既存の魅力を一層増幅させる新しいランドマークとして、多くの人の記憶に残る街並みづくりに貢献している。

以下、設計検討時のパースイメージ